撮影前日。
「お釜での撮影は,30日を予定しているんですが,どうでしょうかね?天気は29日も30日もいいみたいなんですが…ちょっと迷ってるんですよねぇ…」
制作担当のHさんから電話があった。
天気予報によると
29日は,1日中快晴だが,降水確率10%。
30日は,曇りだが,降水確率は0%。
天気は29日の方が良いように思えるが,山形に到着するのが29日の昼過ぎで,そこからお釜でのシーンを日没までに撮るのは,ちょっと難しい感じもする。お釜でのシーンは結構長いシーンであるため,時間がかかるのである。
こちらからは,
「お釜の撮影は絶対明日に持ってくるべき。明日のお釜は間違いなく快晴。30日は,下界は晴れなんだろうけど,たぶんお釜は雲の中で,何も見えない可能性が高いですよ。」
とアドバイスする。
しかしHさんは不安らしく
「マジッすか?29日は快晴?絶対?」
を連発する。
「ぜーったい明日は大丈夫だって!」
「もしガスッてたら?」
「ありえない」
「万が一ガスッたら?」
「合成お願いします!!」
こんなやりとりが続いた後,Hさんの迷いも消えたようで,お釜の撮影は29日にする事とした。
こちらで強く推した手前,明日お釜がガスッてしまってたらどうしよう?という不安もあったが,これまでお釜での撮影では失敗した事はなく,過去3回の撮影は全て信じられないくらいの快晴なのである。とは言いつつも,やはり心に引っかかるものがあり,1時間に1回は天気予報を確認してしまっていた。